春を待つ、一青の「青あお」「蒼あお」「碧あお」
〜畿内・近国の城と大分県の城〜
今回、手ぬぐいは西日本を中心とした城にスポットをあて、展示をしています。
手ぬぐい・原画のデザインとしての見どころは、青の色。
紺のような深い青から鮮やかな青、淡い青など、メインで使われているものから、ピンポイントで使用されているものまで、
青の種類の多様さは、手ぬぐいの彩りに一役買っています。
また、花を添えた手ぬぐいも展示しています。
これからの時期、さらに寒くなってきますが、その期間、草木は静かに春の準備を始めています。
待ち望む春の姿を、手ぬぐいから感じていただければと思います。
西日本を中心とした城ということで、注目したいのは、全体を通しての大名の配置です。
大坂夏の陣での豊臣氏滅亡後、江戸幕府は大坂の地を、西日本支配の政治的・軍事的拠点と定めます。
伏見城は破却、徳川大坂城を「再建」しました。さらに、交通の要衝等に譜代大名を次々と配置していきます。
展示している手ぬぐいのお城も、安土城等一部をのぞき、大多数は、そうした譜代大名の拠点となった城が占めています。
また、原画は中津城・府内城・杵築城・臼杵城といった、大分県のお城を展示しました。
臼杵藩主稲葉家をのぞいた三城は、いずれも江戸時代中期までには譜代大名が配置されます。
その契機は様々ですが、いずれにせよ、幕府の政治的な意図を反映した大名の配置が進められていきました。
このような江戸幕府の政治的意図に思いをめぐらせながら、手ぬぐい・原画それぞれをご観覧いただければ幸いです。
解説:尼崎市立地域研究史料館
尼崎市立地域研究史料館所蔵